システムトレードをする上で欠かせないポイントを集めました。
自動売買は、過去の検証結果を見て判断するわけですが、ここで重要なのは、検証結果にスリッページが加味されているかどうかです。
スリッページとは、システム上の約定価格と実際の約定価格に生じるズレのことです。
多くの自動売買プログラムは、売買サインが出た時に【成行】で発注されます。そのため、検証結果やテスト結果と、実際の約定価格との間に差(ロス)が生まれます。これを加味せずに成績を判断すると、後で「こんなはずでは無かった」と言うことになりかねません。
例えば、日経225miniが10,000円の時に、買いサインが発生したとします。板の状況は図①、②の2パターンが多いと思われます。
例) 現在値 10,000円の時の板のパターン
図①の時は成行で買うと10,000円で約定しますが、図②の場合には、10,005円で約定することになり、テスト結果との間に5円の差が生じます。
これがスリッページと呼ばれています。
50%の確率で発生しますので、検証結果から1トレード(1往復)あたり5円分差し引いて計算する必要があるわけです。 自動売買プログラムの中には、逆指値を利用するなどしてスリッページの発生を低く抑えたものもありますが、いずれにしてもスリッページが加味されているかどうかを確認する必要があると言えます。
プログラムを検証する際に、検証期間や売買回数は非常に重要です。
例えば、期間が1年くらいしかなかったり、極端に言えば月間に2~3回程度しか売買のないようなプログラムを将来信頼して利用できますでしょうか?
検証期間が短すぎれば、たまたまその時期には良かった売買ルールであっても、将来に全く同じ相場が来るとは考えにくく、再現性の薄い可能性があります。また、売買回数が少なすぎる売買ルールは、その検証期間において最適なトレードのみを抽出しすぎている可能性もあり、過剰に最適な条件のみを抽出してしまう過剰最適化に注意が必要です。
販売されているプログラムの中には、バックテストは良いものの販売開始後に成績が悪くなるものもあり、過去のバックテスト結果を見るときは、このあたりも気にしながらみていただくとといでしょう。
出来れば、販売開始後、一定期間の成績(フォワードテスト)が分かるなら調べておきたいところです。 また、逆に売買回数が多すぎるのも問題です。 1日のトレードが、5回も6回もあるものは、その分だけスリッページの発生も多くなり、手数料コストも増加します。それを差し引いた上でのバックテストかどうかは要注意です。
理想を言えば、1日に1~2回程度の取引回数で、それでいて利益の出ているものが良いですね。
自動売買プログラムを作成、もしくは購入する際に注意する点があります。
ときどき、お客様からのお電話で「利用している自動売買が上手くいかないので止めようと思っている」というお話を聞きます。聞いてみると、始めて2~3週間との事。このお話を聞いてビックリしました。
そもそも自動売買は、そんなに短期で評価出来るものでしょうか。
過去の検証(バックテスト)結果を見ても、1~2ヶ月程度続けてマイナスになるものもあります。 中期的な運用を目指してプログラムされているものが多いのではないでしょうか? そのお電話をいただいた方が利用していたソフトは、翌月には、十分な利益が出ていたみたいです。 やはり、短い運用期間では評価しがたいというのが現状だと思われます。
Q.では、どうすれば運用を続けられるのか?
A.運用資金に余裕を持つことが大切です。
システムトレードでは、損失が続くのをドローダウンと言います。このドローダウンがあったとしても運用を続けられるような資金配分にしておくことが最も重要だと考えます。
ソフトのバックテスト結果には、最大ドローダウンが載っているものが結構ありますので、ご参考にしていただくと良いと思います。
ある程度の期間続けていただき、正当な評価をするためには、少なくとも資金枠の半分以下に抑える必要があるのではと思います。
売られているものでは、勝率60%前後のソフトが多いと思われますが、勝率60%と言うことは、1週間のうちで3勝2敗の確率と言うことです。そうすると1年のうちで、2~3ヶ月マイナスの月があっても不思議ではないという事になります。
3歩進んで2歩下がる。これを繰り返して運用資産を増やすようなイメージだと考えていただければと思います。
もちろん中には成績が悪く、長期的に続けていけないようなものもあるとは思いますので、一定期間ウォッチした上で判断していただければと思います。
自動売買を継続していく上では、以下のようなことが重要だと思われます。